
人工授精は、精子を直接女性の子宮内に注入する不妊治療です。通常の性交渉での妊娠が難しい場合に行われます。
治療では、男性の精子を採取し、精子を洗浄・濃縮した後、医師が女性の排卵日を確認し、タイミングに合わせて子宮内に注入します。
これにより、精子が卵子に到達しやすくなり、妊娠の確率を高めることができます。
人工授精は、排卵障害や男性側の精子の質の問題、または原因不明の不妊に対して有効です。
体への負担が比較的少なく、料金も体外受精に比べて低いため、初期段階で試みることが一般的です。
成功率は個人差があり、一定の周期で試行されることが多いです。
人工授精の料金について
人工授精の治療には、保険適用と自費診療の2種類があります。
保険適用の条件や料金の目安について理解し、安心して治療に臨めるようご案内しています。
2022年4月以降、一定の条件下で人工授精も保険適用が可能となりました。
人工授精は、保険適用に年齢制限や回数制限がありません。条件を満たしていれば、何回でも保険で治療を受けることができます。
一方、体外受精などの生殖補助医療は、保険適用に年齢や回数の制限があります。
料金の目安
| 項目 | 料金(1回あたり) |
|---|---|
| 保険適用時の負担額 (3割負担の場合) |
約6,000円〜7,000円 |
| 自費診療の場合の目安 | 約20,000円〜30,000円 |
人工授精の流れについて
人工授精は、月経周期に合わせて段階的に進められます。
排卵日の特定、精子の採取と洗浄・濃縮、子宮内への注入、経過観察といった流れで行い、妊娠の可能性を高めます。
- 排卵日の特定(数日前から数日間)
- 精子の採取と洗浄・濃縮(当日 約30分〜1時間以内)
- 子宮内への精子注入(当日 約5〜10分)
- 経過観察(約2週間)
排卵日の特定
超音波検査やホルモン測定を通じて、最も妊娠しやすい排卵日を見極めます。
通常、月経開始後10日目前後から数日間にわたり、卵胞の大きさやホルモン値を確認します。
精子の採取と洗浄・濃縮
AIH当日に精子を採取します。
採取後すぐに専用の処理液で洗浄・濃縮を行い、運動率を高めて受精の可能性を向上させます。
処理時間はおおよそ30分〜1時間以内です。
子宮内への精子注入
排卵日または排卵直前のタイミングで、洗浄・濃縮した精子をカテーテルで子宮内に注入します。
処置は5〜10分程度で、痛みはほとんどありません。
安静の必要はなく、注入後はそのままお帰りいただけます。
経過観察
注入から約2週間後に妊娠判定を行います。
尿または血液検査で妊娠反応を確認します。
月経28日周期のスケジュール例
人工授精(AIH)は、月経開始から排卵、妊娠判定までを一つのサイクルとして進めます。
以下は、一般的な28日周期を想定したスケジュールの一例です。
個人差がありますので、実際の日程は検査結果や体調に応じて調整します。
| 時期(目安) | スケジュール内容 | 実施内容・ポイント |
|---|---|---|
| 月経1〜3日目 | 初回検査・ホルモン確認 | 初回のみ血液検査でホルモン値を確認します。2回目以降はホルモン剤で周期を管理します。 |
| 月経10〜13日目 | 排卵日の特定 | 超音波検査やホルモン測定で排卵タイミングを判断します。卵胞径が18〜20mm程度で排卵が近い目安です。 |
| 月経12〜15日目 | AIH当日 | 精子を採取し、洗浄・濃縮(約30分〜1時間以内)。その後、排卵のタイミングに合わせて子宮内に注入(処置5〜10分)。 |
| 月経26〜28日目 | 妊娠判定 | AIHから約2週間後に、尿または血液検査で妊娠反応を確認します。 |
周期・通院回数の目安
月経周期や排卵のタイミングには個人差があります。
来院回数は通常3〜6回/周期が目安です。
川越レディースクリニックでは、一人ひとりの状態に合わせて最適なスケジュールをご提案します。
よくあるご質問
人工授精を検討される方から多く寄せられるご質問をまとめました。
治療を始める前の参考にご覧ください。
人工授精は痛いですか?
多くの方は「軽い生理痛のような違和感」程度で、強い痛みを感じることはほとんどありません。
麻酔は不要で、処置は数分で終了します。
人工授精の前後に性交渉をしても大丈夫ですか?
当日は感染のリスクがあるため、性交渉はお控えください。
翌日以降は特に制限はありません。
何回くらい試みるのが一般的ですか?
年齢や不妊の原因によって異なりますが、一般的には3〜6回程度を目安に行います。
複数回行っても妊娠に至らない場合は、年齢や不妊期間、ホルモン・卵管・精子の状態などを再度確認し、
必要に応じて次の段階の治療を検討することもあります。
当クリニックでは体外受精は行っておりませんが、ご希望や状況に応じて連携医療機関へのご紹介も可能です。
焦らず、一人ひとりに合ったペースで治療を進めていきましょう。
副作用やリスクはありますか?
軽い腹部の違和感や少量の出血がみられることがあります。
感染症のリスクは非常に低いですが、完全にゼロではありません。
排卵誘発剤を使用している場合には、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)に注意が必要です。
処置のあとは仕事や運動・入浴はできますか?
安静の必要はありません。処置後はそのままお帰りいただけます。
仕事や日常生活も通常どおり行っていただけます。
妊娠率(成功の確率)はどのくらいですか?
年齢や精子・卵管の状態などによって異なりますが、1回あたりの妊娠率はおおむね5〜10%程度です。
複数回の治療で累積妊娠率は上がっていきます。
男性は院内で採精できますか?
当クリニックには採精室のご用意がないため、精子はご自宅で採取し、指定の容器に入れてお持ちいただきます。
採取からできるだけ早く(1時間以内を目安)にお持ちいただくことで、精子の状態を良好に保つことができます。
主人(パートナー)が来院できない場合はどうなりますか?
やむを得ない事情で同伴が難しい場合は、事前の同意書や身分証の確認などが必要になる場合があります。
事前にスタッフまでご相談ください。
お気軽にご相談ください
人工授精はシンプルな治療法ですが、適切なタイミングとケアが重要です。
川越レディースクリニックでは、安心して治療を受けていただけるよう、丁寧な説明とサポートを行っています。
「人工授精って難しいのでは?」「痛くないの?」といった不安をお持ちの方も多いですが、
治療は短時間で終わり、身体への負担も少ない方法です。
少しでも気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
