性交痛について

性交時に腟の入口や奥に痛みを感じ、性的な接触が不快・苦痛に感じられることがあります。
この症状は、子宮内膜症や性感染症などの疾患でよく見られるものです。

最近では、特に閉経後の女性からの性交痛に関する相談が増えています。
バイアグラのような薬剤の普及により、高齢の男性でも性交渉が可能となった一方で、女性側は萎縮性膣炎などの女性ホルモンの欠乏による影響を受けやすくなります。
閉経後はホルモン不足の影響で慢性的な膣炎を抱える方が多く、その状態で性交渉を行うと炎症が悪化しやすくなります。

その結果、性交時の痛みだけでなく、膣の痛みや外陰部の痛みにも悩まされることがあります。
閉経後の女性は、膣内環境を保護するための準備を行った上で性交渉を行うことが大切です。

当クリニックでの治療方針

川越レディースクリニックでは、症状やご希望に応じて、以下のような治療方針をご提案しています。

症状の聞き取りと原因の把握

性交痛の原因を特定するため、詳細な問診と検査を行います。
生活習慣の確認、性交時の痛みの場所やタイミング、過去の治療歴などを伺い、痛みの原因を分析します。
膣の乾燥、感染症、内膜症、筋肉の緊張などを総合的に判断します。

原因 説明 主な症状
膣の乾燥(炎症) 閉経後やホルモンの減少により腟粘膜が薄くなり、潤滑が不足します。 刺激時の痛み、灼熱感、性交時の不快感
感染症 膣炎や細菌性膣症、クラミジア感染症など、外陰部や腟内の炎症が原因となることがあります。 痛み、おりものの異常、外陰部のかゆみ
子宮内膜症 子宮外に増殖した内膜組織が癒着や炎症を引き起こし、性交時に痛みが生じます。 深部への刺激時の痛み、下腹部の圧迫感
外陰部の筋肉緊張 ストレスや過去のトラウマにより外陰部の筋肉が収縮しやすくなる状態です。 挿入時の圧迫感、締め付けられるような痛み
心理的要因 性行為に対する恐れや不安、過去の経験による緊張が原因で痛みを感じる場合があります。 挿入時の痛み、リラックスできない状態

生活習慣の改善とケアの提案

性交痛の多くは日常生活のケアでも改善が期待できます。
外陰部の清潔を保つことや、潤滑剤の使用、適度なリラックスを心がけることで、痛みの軽減につながります。
また、ストレス管理やホルモンバランスの整え方についてもご提案しています。

薬物療法の適用

症状の原因に応じて、感染症が原因の場合は抗生物質や抗真菌薬を使用します。
また、腟の乾燥が強い場合は、ホルモン補充療法(HRT)や外用薬を使用することもあります。
安全性や副作用についても丁寧にご説明いたします。

必要な検査の実施

経腟超音波検査や分泌物検査を行い、感染症や炎症の有無を確認します。
必要に応じてMRI検査や内診を通じて、子宮内膜症や腫瘍の存在を確認します。

受診のタイミングについて

  • 性交時に強い痛みを感じる場合
  • 痛みが繰り返し続いている場合
  • 性交後に出血や強い痛みが残る場合
  • 外陰部に違和感やかゆみがある場合
  • パートナーとの性行為が困難になる場合

痛みがあるのが普通だと思わず、お気軽にご相談ください。